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これで何度目だろう。
チケットベンダーに飲み込まれていく千円札を見送りながら、結菜は思う。
「成績証明書と、卒業見込証明書と、健康診断書だから……600円か……」
証明書を一枚発行するだけで200円取られるこの大学の制度が結菜は気にくわない。
「200円証紙」と書かれたボタンを3回押すと、証紙と共に100円玉4枚がじゃらじゃらと吐き出される。
こんなにお金をかけて書類を提出しても、途中で突っ返されればそのお金は無駄になる。
就活のせいでろくにアルバイトもできない結菜は不満だった。
今まで受けたのは6社。そのうちの1つからは内々定をもらったが、後から会社の労働条件が自分の希望と合わないことに気がつき、辞退してしまった。
残りの5社は全て落ちた。
手当たり次第にとりあえず6社受けたが、正直やりたい仕事なんてない。
第一志望の会社なんてもちろんない。
社会人になっている自分が想像できなかった。
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