第1章 リクルートスーツは戦闘服

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今日で一週間。 菜穂は携帯の画面を開いては閉じ、開いては閉じを繰り返していた。 先週、筆記試験を受けた会社からはまだ連絡が来ない。 「サイレントお祈り」という嫌な言葉が頭の中をよぎる。 講義なんて聞いていられるはずがなく、菜穂は机の下で携帯を握りしめていた。 だが、そんなことをしても状況は変わらない。 (やっぱりだめなのかなぁ……) 自分で言うのもなんだが、今回はかなり気合を入れて勉強した。 筆記試験はとんでもなく難しかったが、その努力が報われないかと微かに期待をしてしまう。 (もうやだ……寝よう……) 真面目に講義を聞く気もすっかり失せて、菜穂は机に突っ伏して眠ってしまった。 「菜穂!!!起きなよ!!!お昼食べよ!!!」 誰かに揺り動かされて菜穂は目を覚ました。 いつの間にか講義は終わったらしい。 菜穂を起こしたのは結菜だった。 「ゆ、結菜~……」 「菜穂、どうしたの?顔色悪いよ?」 泣きそうになりながら菜穂は結菜にしがみついた。 「やっぱりだめかもしれない……連絡が……」 菜穂が言いかけた時だった。 菜穂の手の中の携帯のランプが光った。 「来たんじゃない?朗報が」 結菜の言葉にうなずき、震える手で菜穂はメールを開いた。 「あっ……!!」 菜穂の表情に結菜の頬がゆるむ。 「結菜っ!!私………!」 「菜穂……!!やったね…!!」 ディスプレイの中には「一時選考通過」の文字が浮かび上がっていた。
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