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ぴょこんっ。
微睡んでいた意識の中に聞きなれた音が響いた。LINEだ。
「……」
スマホを取るのも面倒くさいが、体を起こさず顔だけ横に向けボヤーッとする視界が慣れるまで通知画面を見つめる。
杏:起きてる?
……? 杏? 誰だ、そんな人追加したっけ……。まず前提として女子は誰も追加してない筈……。
………………ッ!?
「西川ッ!? ……ッ、ゴホッ、ゲホッ!」
まさかの相手にむせた。杏って西川だよな、トプ画は変なクマの人形だから確信はないけど、多分これ西川だよな!? うっそ、あいつ何のつもりなの!?
杏:寝てる?
杏:おーい
杏:未読無視ー?
杏:自分の立場分かってるー?
やばいこれ絶対あいつだ。止まらない、通知が止まらない。スタンプ連打してるやめて。
杏さんからの着信です
えぇー!? 何なんだよ一体!
「も、もしもし」
あまり無視し続けるのも後が怖いので出る。すると西川は現実で会うよりも愉快そうな声で『あ、出たっ♪』と言った。
「あの……何か用?」
『暇だったんだー、寝るまで付き合ってよ』
「……」
『嫌だった? 迷惑?』
「いっ、いや、別に……」
別に、というか。これまで女子からそんな理由でLINE来たり通話来たりって事が無かったから嬉しい。嬉しいけど、西川かぁ……。
『ねえねえ、石戸君って好きな子とかいないの?』
「ぶふっ!? 何の話!? えっ、いきなり何の話!?」
『言葉の通りだけど、好きな子とかいないの?』
「い、いねえよ!」
『へぇ、じゃあ僕は石戸君とエッチしても許されちゃうわけだ。良かった』
「……? いや待て、その理屈は分かんない。どういう事?」
『えー、だって石戸君にもし好きな人がいたら、その石戸君の気持ちを無視して無理矢理犯してることになるじゃん』
「無視して無理矢理犯してるじゃん」
『……』
あ、黙りこくった。なんだ、自覚してるのか。
「西川ってよっぽど欲求不満だったんだな」
『……中にたんまり出す人に言われたくないんだけど。普通の常識を弁えてるならゴムするし、せめてお腹に出すとかでしょ? もう二回も出されて……着床してたらどうするの?』
「げっ……それはまずい」
『責任は取ってくれるの?』
「えっ、えー……」
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