仮題『青』

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 職員室で正気を疑われ、存分に気分を害された僕が一人で廊下を歩いていると、一人の男子生徒が僕を待っていたかのように現れた。  ……今の僕にとってはあまり顔を合わせたくなかった。僕を殴った……僕が襲った男子生徒だ。 「よお、西川。……その」 「……何かな」 「……シたい」  ……?  男子生徒が現れたのが理科準備室からだったので、まあ、僕はそこへ引きずりこまれた。  彼の息は荒かった。僕の足に彼の股間のアレが当たって……なんていうか、怖い。  何故こうなっているかは分かった。僕がそもそも頭おかしいから、暇だったから、退屈だったからと強姦まがいの事をしたからだろう。  よく分からないけど、彼の下心に火をつけるきっかけとなってしまったようだ。 「い、いいよな! さっきの……お前からしてきたんだもんな!」  いいわけない。離してほしい。一時の気の迷いを大義名分にしないでほしい。  本当になんでもなく、ただ僕は空気になってしまったのかを確かめたかっただけなんだ。なのに、何故こうもこの人は僕を犯そうとしているのだろう。 「……ッ!」  意味の分からないことだらけで、意味の分からないものが僕の中に入ってきて、意味の分からない痛みがお腹の下にじんわりと広がる。痛みが伝搬して、腰が砕けそうだけど、多分そんな痛みを感じてるのは僕だけで、彼は腰を動かし続ける。  こんな事をする為に人間は生き、成長する。もう少し遅くに経験するかと思っていた感覚を感じ、何を考えよう。  ……。 「にっ、西川!?」  気持ち良くはないし、気分も最悪だけど、いやらしい気持ちが皆無というわけではない。むしろ、かなり僕は興奮していた。  キッカケを作ったにしろ、無理やり犯されて興奮している僕は異常性癖者なのかもしれない。  僕は、懐からスマホを取り出し、下半身の写真を撮った。  続けて、相手の男子の顔、僕の顔と撮り続け、その写真を彼に見せる。 「……これ、他の人に見られたら僕も君も人生おしまいだよね」 「なっ……」  僕は彼に見せたまま、クラスのグループにその写真を送りつけた。
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