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「氷川さん……こいつが困ってるって、こいつが今この教室内で一番怪しいのよ!? あと脇山! この二人は普段から変態的な事ばっかりしてたし、きっと今回も!」
「へぇ~、それってどんな?」
「……ッ! ……女子の更衣室を覗いたり」「それは他の男子もしてたよね?」「……階段登ってる時スカートの中を見たり」「視線を上げたら誰だって見えちゃうと思うよ」「……夏とかよく胸を見てるし」「だってみんな透けてるししょうがないでしょ? あなたが言ったこと、全部この二人にだけ当てはまるって事ないじゃない。偶然、事件が起きた翌日に休んでた二人だからって理由で怪しんでいるだけでしょう? そんなの、なんの根拠にもならないよ」
「そっ、そんなの……怪しいじゃん。次の日に、普段よく一緒にいる二人が揃って休むなんてさ。それに、石戸に至っては何日も休んでたし……」
「私が仮に犯人なら敢えて次の日に素知らぬ顔して登校してくるよ。だって顔写真までは送られてないんだもん。腰だけの、しかも手ブレで見にくい写真が手掛かりならそうそうバレっこはないもの。ま、私は女子だから犯人じゃないんだけどさ」
「……そんなの、屁理屈だし」
「だったらあなたの言う発言もほとんどが屁理屈だよ。考えてみて? 本当に無関係だったとしたら、犯人扱いされた石戸くんと脇山くんはどんな気分になると思う? まあこの場に脇山くんはいないから石戸くんに集中してるけど、きっととっても嫌な気持ちになってると思うよ」
「それは……」
氷川に説き伏せられた女子は一度俺の方を向き、俺が視線を合わせると一瞬バツの悪そうな顔して逃げていった。そのタイミングで西川は教室に帰ってきて、担任も教室に入ってきて帰りのHRが始まった。
*
「さっきは災難だったね」
「えっ、……氷川さん」
荷物をまとめていたら氷川が話しかけてきた。
「さっきは助かったよ。ありがとう」
「全然いいよ。さっきの子のいるグループとはあまり関わりがないから分からないけど、あの子は悪気があって石戸くんに強く当たったわけじゃないと思う。だから許してあげて」
「分かった……あの人なりに、西川さんがされた事が許せないんだろうね。だからあんなに躍起に」
「うん、きっとそうだよ!」
……本当はそうは思わないが、氷川は純粋にそう思ってる節があるので黙っておいた。
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