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「あ、私今日用事あった! 先帰るね!」
「あっ、うん。じゃあ」
氷川と話していたらHRが終わってから二時間ほど経っていた。最初こそ事件の事について話していてずっと心臓バクバクだったが、途中から何故か趣味の話になり、俺と氷川は同じ作家の小説ばかりみていた為に少しだけその話で盛り上がった。
あまり趣味が合う人がいないので名残惜しい気持ちもあり、彼女との会話を再び望んでいる俺がいた。
脇山は野球部所属で、HRが終わった瞬間教室から抜け出していった。今日も一人での帰宅だ。
何かしたいスポーツや活動があるわけでもなし、部活動など入る必要はないと割り切ってはいたが、こういう時はやはり入っていた方が良かったのかと考える。
「……あっ」
そういえば西川からもらった紙、まだ内容確認してねえや。
俺はポッケから小さく折りたたまれた紙を取り出し、それを広げ中身を見る。
『図書室で待ってるね。来なかったらLINEに追加で写真載せるから。』
手紙にはそう書かれていた。
丸文字で軽々と恐ろしい事が書かれている。あぶねぇ、うっかり帰るとこだった。折角助けてもらったのにそれらを全部水の泡にする所だった……!
俺はその紙を握り廊下を走る。やがてついた図書室には、昆虫図鑑を開いて見てる西川以外に人影は無かった。
夕陽に彩られた空間に一人、西川だけがいた。
「……遅かったね」
「ご、ごめん……じゃなくて! こ、これ、なんだよこれ!」
「これって?」
「バラすって、結局写真は消さずに残してるのかよってことだよ!?」
「消す? なんで? いい脅迫素材じゃん」
「脅迫素ざ……ッ! ……西川、お前何考えてんだよ」
「悪い事」
西川は図鑑を本棚に戻すと、俺の手を引き本棚の裏まで引き連れ、在ろう事か服を脱ぎ始めた。
「おっ、おい!」
「……? 何、嫌だっていうなら前のこれ全部みんなにバラしちゃうよ?」
「くっ……なんでだよ。お前は俺とこんな事するの嫌じゃないのかよ!」
「うん」
目の前でクラスメートの女子が服を脱ぐ光景に俺は不覚にも興奮してしまった。
「……何で俺なんだよ」
「都合が良いから」
「今はな! そうじゃなく、何故最初俺を選んだんだよって事だよ!」
「近くにいたから」
服を脱ぎ終えた西川は、俺のズボンに手を掛けた。
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