第四十五章 傷だらけのGOD

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「九月十日に私が依頼した通り、斉田雄二さんを殺した犯人である宮田恵子を皆さんは抹殺してくれました。 もはやこの世に未練は何もありません。 約束通りこの命あなた達に差し上げます」 強い口調で言った割に、美緒の足はガクガクと震えていた。 精一杯の強がりなのであろう。 負けず嫌いの美緒らしいと言えば美緒らしい。 「美緒さん違うんだ」 圭一が横から割って入った。 「違うって......何が」 「依頼者はあんたじゃない」 思いも寄らぬ圭一の発言。 美緒は何を言われているのか分からない。 思わず聞き返す。 「私が依頼者じゃ無いって......それ一体どういう事ですか?」 美緒は不可思議な表情を浮かべている。 するとポールは何を思ったか、境内の柱の陰に顔を向け叫び声をあげた。 「やっこサン! もう隠れて無くてイイですよ。出て来てクダサイ!」 そんな所に誰が居ると言うのか? 美緒は訳が分からない。 すると何やら黒い影が柱の裏から現われ始めた。 そしてその影は、一歩一歩美緒の立つその場所に近づいて来る。 やがてその影はベールを脱いだ。 「あっ、あなたは!」 美緒の前に現れた人物...... それは美緒の良く知る人物であった。 ハイヒールに花柄のワンピース。 首にはプラチナのネックレスが光輝いている。 金山君子社長! 思いも寄らぬ人物の出現に、美緒は驚きを隠せない。
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