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場所は変わって、ここはダイワーク国海軍施設内である。
ダイワーク海軍総司令官のステファーノは苦虫を噛み潰したような顔で頭を抱えていた。彼が舞台役者であれば大仰にこう言ったことだろう。
「サプラのみならず、タクトまでもなのか!?」 と。
この時期に海軍司令官を二人も失ったのはダイワークにとって大変危機的状況である。
今、他国に攻められでもしたら、どうすれば良いだろうか。
ステファーノは強く思う。早く次のダイワーク海軍司令官を育て上げる事!それが急務である。
そして、強い兵士も必要だ。サプラとタクトの二人が不慮の事故で行方不明になる訳が無い。これは他国の陰謀である可能性が高い。
いつこのダイワークを狙う国が宣戦布告をして襲って来ないとも限らない。
ステファーノは軍上層部と相談の上、ダイワーク海軍の増強に乗り出した。
ステファーノが掲げたダイワーク海軍増強作戦の第一弾が次のダイワーク海軍司令官を育成することである。その為にその候補となる人材を募る事にした。
その司令官候補はどのように選出するのか?
まずは、現海軍司令官の推薦である…………
この海軍司令官候補募集の報はダイワーク海軍一のお祭り男、第五艦隊アルバートの耳に入る。
そしてダイワーク海軍紅一点の第七艦隊エランツォの耳にも入った。
ステファーノがどれだけ、今のダイワーク海軍の現状を苦慮しているか二人は知らないだろう。
二人は各自の思惑で動く。
エランツォはダイワークの有力貴族アイゼン公爵の愛娘19歳のマリアを推薦するつもりだ……理由は自分の他に女性の司令官がいた方が話が合うから……ただそれだけだ。深い理由はない……
ダイワーク海軍史上最年少で司令官になったのはエランツォの27歳である。19歳のマリアが提督になるにはいったい何年待てば良いというのか?
とても本気とは思えない。しかしダイワーク海軍にはもっと本気とは思えない行動に出る男がいた。
それがアルバートだ。
アルバートはダイワーク海軍が未来の提督を募っている。そしてその人材については現在のダイワーク海軍司令官が推薦出来ると聞いて、ある人物の捜索に乗り出したのだ。
その人物とは?
ダイワーク海軍第八補給部隊所属……自分をダイワークの紅い獅子と名乗った男だ……
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