第3章 次世代の司令官

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場所は変わって、ここはダイワーク国海軍施設内である。 ダイワーク海軍総司令官のステファーノは苦虫を噛み潰したような顔で頭を抱えていた。彼が舞台役者であれば大仰にこう言ったことだろう。 「サプラのみならず、タクトまでもなのか!?」 と。 この時期に海軍司令官を二人も失ったのはダイワークにとって大変危機的状況である。 今、他国に攻められでもしたら、どうすれば良いだろうか。 ステファーノは強く思う。早く次のダイワーク海軍司令官を育て上げる事!それが急務である。 そして、強い兵士も必要だ。サプラとタクトの二人が不慮の事故で行方不明になる訳が無い。これは他国の陰謀である可能性が高い。 いつこのダイワークを狙う国が宣戦布告をして襲って来ないとも限らない。 ステファーノは軍上層部と相談の上、ダイワーク海軍の増強に乗り出した。 ステファーノが掲げたダイワーク海軍増強作戦の第一弾が次のダイワーク海軍司令官を育成することである。その為にその候補となる人材を募る事にした。 その司令官候補はどのように選出するのか? まずは、現海軍司令官の推薦である………… この海軍司令官候補募集の報はダイワーク海軍一のお祭り男、第五艦隊アルバートの耳に入る。 そしてダイワーク海軍紅一点の第七艦隊エランツォの耳にも入った。 ステファーノがどれだけ、今のダイワーク海軍の現状を苦慮しているか二人は知らないだろう。 二人は各自の思惑で動く。 エランツォはダイワークの有力貴族アイゼン公爵の愛娘19歳のマリアを推薦するつもりだ……理由は自分の他に女性の司令官がいた方が話が合うから……ただそれだけだ。深い理由はない…… ダイワーク海軍史上最年少で司令官になったのはエランツォの27歳である。19歳のマリアが提督になるにはいったい何年待てば良いというのか? とても本気とは思えない。しかしダイワーク海軍にはもっと本気とは思えない行動に出る男がいた。 それがアルバートだ。 アルバートはダイワーク海軍が未来の提督を募っている。そしてその人材については現在のダイワーク海軍司令官が推薦出来ると聞いて、ある人物の捜索に乗り出したのだ。 その人物とは? ダイワーク海軍第八補給部隊所属……自分をダイワークの紅い獅子と名乗った男だ……
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