第3章 次世代の司令官

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途中曲者がエランツォに攻撃を仕掛けようとした時に、何度も自分の身体を盾にしてそれを防いだことを言っているのだ。それを聞いた時のアルバートはひどく感動していた。 「そして命がけでお前を救ったのに名も告げずに去る!艦隊司令官の器だと思わないか?」 それを聞いたエランツォは内心で思う。艦隊司令官どころか王子なんだけど…… 「とにかく俺はやめない。絶対に紅い獅子を見つけてダイワーク艦隊司令官に推薦する」 アルバートの最後の追い込みは凄かった。 彼は全財産をはたくのでは無いかと思えるほどの大金を紅い獅子の捜索費用に注ぎ込んだのだ。 そして最後には紅い獅子に高い賞金をかけた。この噂はダイワーク海軍の内情に詳しくない者にも伝わった。 そのアルバートのかけた金額があまりに大きいため、理由をよく知らぬ者は紅い獅子という男は余程の重犯罪人なのだろう。そう勘違いをする者も現れたほどだった。 そんなアルバートをはた目でみているエランツォは思う。無駄なことを……紅い獅子は今はソフィア王国にいるはず、どんなに頑張っても捜しようがないわ。 ソフィア王国にいる紅い獅子が見つからないのも当たり前なのだが、アルバートの捜し方も良くなかった。情報が少なすぎるのだ。 顔面を包帯でグルグル巻きにしていて、大きなシャムシールを振るい、恐ろしく強く、そして義に厚い男……情報はこれだけだ。 こんな情報では捜しようがない。包帯でグルグル巻きなのだから、まず外見が分からない。そして義に厚いとは何を以ってそれを計れば良いのだ? こんなつたない情報でどうやってソフィアの王にたどりつけるというのだろう。 これではかの有名な大賢者シルクといえども紅い獅子を捜すことは到底不可能である。 そしてダイワーク海軍司令官候補を推薦する期限の日がやってきた。 アルバートは最後の最後まで諦めなかった。 すると驚くべきことが起こったのだ。 なんと現れた!捜すことは不可能と思われた紅い獅子が自分から名乗り出てきたのだ。 これにはアルバートもびっくりする。まさか自分から現れるとは? しかし、紅い獅子が自分から現れた事よりもさらに驚くべき事があったのだ。 なんと紅い獅子は3人現れたのだった……
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