第3章 次世代の司令官

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「まさか三つ子だったとは……」 とアルバートが言ったかどうかは定かではない。 とにかく今日が司令官候補推薦の期限だというのに紅い獅子は3人もアルバートの元にやってきた。アルバートが頭を抱えたのは言うまでもない。 三人とも顔に包帯を巻いている。試しにアルバートは包帯を取ってくれ、 と頼むが、3人は顔に大怪我を負っているのでそれは出来ないと言う。アルバートには3人のうち誰が本物の紅い獅子か確かめる方法が無い。 結果、慌てて使いをだしてエランツォを呼ぶことにした。エランツォであれば、本物の紅い獅子がどの男か分かると思ったからだ。 アルバートから呼び出しを受けたエランツォは驚いた。絶対に見つからないと思った紅い獅子が見つかったと言うからだ。3人も現れたというのはどうにも分からないが、もしかしたらリュシアンが帰って来たのだろうかと思い、すぐにアルバートの元に駆け付けた。 アルバートに呼ばれた場所に到着したエランツォはさらに驚いた。 彼女はアルバートに、ダイワーク海軍施設の訓練場に呼び出されたのだが、そこには包帯で顔をグルグル巻きにした人間が二人も倒れているからだ。 「アルバート!どうしたの?紅い獅子は?」 「くそっ!聞いてくれよ、エランツォ」 なぜか、アルバートは怒っている。 「こいつら騙りだ。俺のかけた賞金目当てか、ダイワーク海軍司令官に推薦して欲しいから、自分が紅い獅子だと嘘を言ったんだ」
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