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「王子。この後、どうしますか?」
船の甲板の上でのんびりとあくびをしながら、美しい銀髪の青年が聞く。
「……」
しかし、横に立つ可愛らしい少年はそれに返事をしない。
「王子?」
少年が返事をしない事を不思議に思い、銀髪の青年はもう一度呼びかけた。
「……シェル……お前、俺を馬鹿にしてるだろう?」
少年はふてくされた表情で言う。
「ええっ!?」
シェルと呼ばれた青年はさも心外そうな声を上げた。
「何がですか?」
「その王子っていう呼び方だよ」
「……だって……王子でしょう?ジェニーは」
青年は不思議そうに聞いた。
「……そうだ。王子だ」
「じゃあ、王子と呼んでも良いではないですか?」
銀髪の青年は鬼の首でも取ったかのような調子で言う。
「うーむ……そうなんだけど……」
少年は腕組をして小首を傾げて悩む。
「なんか世間離れして常識をわきまえない人間を捕まえて、それを遠回しに馬鹿にして『王子』と呼んでいるような気がしてならない」
「……」
それに対して青年は何も答えない……
少年が王子と呼ばれてしまう自分に悩んでいるとどこからともなく大声がする。
「陛下ー!!陛下ー!!」
「この声は……」
少年が声のする方を見ると、野獣のような立派な筋肉を持った男前な中年男が現れた。
「陛下。大変です」
「ミ、ミハイル。お前、陛下って……」
その可愛いらしい容姿の少年はワナワナと震えながら、中年男に言う。
「なんだ?その陛下って?」
中年男は少年がたじろいでいることに気づかずに続けて言った。
「陛下!大変なんです」
「お前も俺のことを馬鹿にしてるだろ……」
それに対して男は不思議そうに聞いた。
「何がですか?」
「なんだよ!その陛下って?」
「おかしいですか?」
「陛下はおかしいだろう?」
少年は真面目な顔で答える。
「……」
中年男をは少し考えてから、閃いたとばかりに手を叩いて言い直す。
「我が親愛なる陛下?」
「何でだ!?」
「ジェニウス王?」
中年男に自分の気持ちをどうにも理解してもらえぬ少年は頭を抱える。
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