第1章 ソフィアの王子

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「まだ、ジェニーはソフィア王ではないでしょう?」 銀髪の青年が横から茶々を入れる。 「いや、坊ちゃんはソフィア王だ。すでに即位式が済んでいる」 「しかし、その即位式をすっぽかしたじゃないですか?」 「違う!不慮の事故で即位式に出られなかったんだ。即位式は行われた」 それを聞いて銀髪の青年はびっくりする。即位する王本人がいないのにどうやって行われたのだ!? 「替え玉をたてた」 「替え玉っ!?」 青年は思う。即位式に替え玉!?有り得ないだろ!!即位式とは国で最も重要な儀式では無いのか!?それを替え玉とは!? 「あのムーとか言う、こうるさいのが替え玉として祭壇に立った」 「ムー?彼は金髪碧眼じゃないですか?」 銀髪の青年はビックリして言った。 「大丈夫だ!!どうせ誰も気づかん」 黒髪の少年が金髪の青年に変わって気づかぬ訳が無いだろう。それに気づかないのはミハイルぐらいのものだ。 銀髪の青年と野獣のような中年はその後も、まだ王子だ!もうソフィア王だと言い合っている。 「ところでミハイル。何しに来たのさ?」 少年はため息をつきながら中年男に聞いた。 「いや、坊ちゃんはもう王子では無く、ソフィア王だと言いに……」 「違うだろ!!その前にここに大変だと言いながらやってきただろ!」 「ああっ!?」 中年男は思い出したとばかりに言う。 「ああっ! じゃない」 「大変です。陛下」 「陛下はもう止めろ」 少年はブスッとした表情で言う。 「坊ちゃん。大変です……」 「だからどうしたんだよ?」 中年男は急に真面目な顔になって言う。 「ダイワークの危機です」
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