第2章 世界の四強

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皆は思った。 サプラのような有能な人物に行方不明となった民間船の捜索をさせるなどもったいない。 だが、これで安心である。サプラは経験豊富な艦隊司令官だ。少しの情報から事件を調査して、彼ならきっと行方不明となった民間船も、そして捜索に出かけて同じく行方不明となった船も探し出してくれるだろう。 サプラはそういう人物だ。彼に失敗は無い。 皆の期待を一身に背負ってサプラはダイワークを出発した。 そして、そのサプラも行方不明となる…… ダイワークにとって、これは由々しき事態であった。軍備を持たぬ民間船が行方不明になる事。これはたまに起こることだ。 嵐の為の遭難。海賊との遭遇。不慮の事故による沈没。 原因はいくらでも想像がつくだろう。 しかし、軍船にそれらは無い。あっては困る。仮にも彼らは訓練された軍人なのだ。海で航海をして仮に海賊が出たとすれば戦って勝つ。それを専門としている職業だ。 そこらの民間船が行方不明になるのとは訳が違う。 しかし、第六サプラ艦隊は消息不明となった。 これに頭を抱えたのはダイワーク海軍総司令官のステファーノだ。 すぐに各艦隊司令官を集めて会議に入った。一度解体となった重大事件対策室を復活させると共に次の手を打つことにする。 次の手とはダイワーク海軍で第六艦隊サプラの次に信頼のおけると言われる第十一艦隊タクト中将をこの事件の解決の為の総責任者にすることである。 タクトは数か月前にロレンスに暗殺をされた第四艦隊アイゼンバッファの盟友とも言える人物で軍人としての歴も長い。 彼ならすべての謎を解いてくれる。なぜ、民間船は行方不明になり、事件解決に乗り出したサプラまでが消息を断ったのか? タクトなら大丈夫…… タクトは現在、外交の為にヤンドール国に行っている。彼が戻ってきたら任務に当たってもらおう。 しかし彼がダイワークに帰ってくることは無かった………… それが一か月ほど前の話である。
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