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要が、新しい部屋のことで、あまりにも遠慮をするというので、宇野が交換条件で、俺と連絡を取り合うようにと言ったらしい。
そのおかげで、今、本当にたまにだけれど、要からメールが来るようになった。
とは言っても、本当に他愛無いことばかりだ。
今日は、何を食べただの、授業中にこんなことがあった、だの。
だけど、そんな他愛無いことでも、要からのメールというだけで、俺にとっては宝物なのだ。
そんな小さな幸せな時間を味わっていたのに、あの人からの連絡で、また嫌な時間が始まりそうだった。
寮の部屋での勉強の合間に、宇野からの留守電に折り返し電話をした。
『獅子倉くんもそろそろ落ち着いてきたようなので。あちらも、ちゃんとしたいようですし。』
「ちゃんとって」
『再婚話ですよ。』
「は?」
『・・・女性のほうが、早く籍をいれたいようです。獅子倉さんのほうは、要くんのことを考えて、もう少し先に考えてるようですが・・・』
「なんだよ、それ。」
『小さいお子さんがいるんで、父親になって欲しいんでしょう。』
「・・・その女って、バツイチかなんか?」
『そうですね。元夫のほうは、ヒモみたいなもんだったようで、金持ちの女を見つけて、そっちに乗り換えたようです。』
「だから、今度は自分がってか。」
・・・最低だ。
それに気づかず、その女にのめりこんでるあの人も最低だ。
寮の部屋から見えるのは、真っ暗な闇。
ガラスには、怒りで歪んだ俺の顔が映っている。
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