離れても君を想う

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_____ ________ _____________ スマホを耳にあてながら、俺はイライラしていた。 柊翔のヤツ、どこかのポケットにいれてるみたいで、音声がくぐもって聞こえる。 唯一聞き取れるのが、柊翔の言葉だけ。 ただ、要の悲痛な声が聞こえてくるたびに、俺はなぜ、ここに、自分の寮の部屋にいるんだろう、と拳を握りしめる。 『おじさん・・・おじさんの中で、要が一番になってないんでしょ。だったら・・・もう、放っておいてやって。』 柊翔の言葉を要がどんな思いで聞いているか。 それを考えただけで、胸が痛くなる。 『・・・・』 『宇野さん、要のこれからのことですけど、この人から、ちゃんと生活費もろもろのお金もらってください。こんなんでも、一応、保護者なわけですし。おじさん、それぐらいの面倒、みても当たり前でしょ。』 『・・・・』 『それすら放棄するつもりなら。』 ようやく画面が明るくなった。 「どうも。」 久しぶりに見る獅子倉のおじさんは、少し痩せていて、目には少し怯えが見えた。 『き、君はっ!?』 だからって、要を悲しませる相手に容赦するつもりはない。 たとえ、それが要の父親であっても。 「ご無沙汰してます。・・・獅子倉さん・・・あの時は、ご迷惑をおかけしました。」 『は、馳川くん・・・』 「宇野からも話は聞いてます・・・獅子倉さんが思うように生きるという選択をしたのなら、要も自由にしてもいいはずですよね。当面は、こちらで世話をさせてもらいますけど、要も、いつまでも、この状態は嫌だろうし。」 『・・・しかし。』 「あなたには選択権はないんですよ?」 『おじさん、まさか、要を家に連れ戻そうとか、思ってるわけじゃないだろうね。これ以上、要を苦しめるんだったら。』 今まで聞いたことのないくらい、柊翔の冷ややかな声。 『俺も亮平も、あんたを許さないから。』 柊翔にも、意外に残酷な一面があるんだ、と思うと、思わずニヤリと口元を歪めた。
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