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「ギンタローもコンテストに出るの?」
「うん。『お家で焼き鳥セット』が貰えるって聞いて応募してみたんだ……二人とも出るの?」
ギンタローの言葉に、キヌタは大きく頷いた。
「俺は出るけど、コノキは付き添いなんだ。歌も上手い王者なら、あちこちから熊退治の依頼も来るだろうしな」
「そっか。熊退治って奥が深いんだね。歌が上手くないとダメなのかぁ」
ギンタローの呟きに、コノキは慌ててキヌタだけの意見だと告げた。
「それでは名前を呼ばれた選手の方はステージまでいらして下さい!」
今日の司会進行はトラらしい。ステージの上からマイクで呼び出しを掛けていた。
先日の飲んだくれた姿とは大違いで、今日は薄いグレーのスーツ姿で、【司会はわたしだ!】と書かれた襷を肩から掛けていた。
「第1試合!……今日も安全第一!あなぐまのマーグさんvs自称アイドル50周年!カナリアのリアさん!」
ステージに黄色いヘルメットに土木作業員の格好をしたマーグと、黄色いふわふわのドレスを着たカナリアのリアが上がって行った。
「リアおばちゃん……まだ自分をアイドルだと思ってたんだ?」
コノキの呟きに、キヌタも小声で答えた。
「黄色いドレス着てるけど……あれじゃ王者ピーちゃんみたいだよな。体格も丸くなってきてるし」
見た目がたこ焼きのように丸く、ふわふわした黄色いドレスを着ていると、遠目からみたら王者ピーちゃんと見間違う程だ。
唯一の違いは顔にからすの足跡があることと、豊齢線の皺がくっきりとしたのが、リアだと言うことくらいだった。
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