タイム・マシーン

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あれから一年後・・・ようやく気持ちに一区切りがついた、私はビニール袋を持ち出し、あいつが残していった物を、ひたすら袋につめていった。 あいつが着ていた服、 あいつが聞いていたCD、 あいつが使っていた食器、 ワンルームの六畳に、ガサガサという袋の音と、その袋の中に入ったあいつが残した物の音が、むなしく響いていた。 私は、無心に袋につめたり、かと思えば、一点を見つめてボーっとする時間もあった。 確か、ボーっとしていた時だったと思う、玄関から何か、紙が入れ込まれた音が聞こえた。 玄関に行くと、郵便受けに、何かのチラシが入っていた。 「タイムマシーン、できました!」 チラシに大きく書かれた文字に、私は疑いを持たずにはいられなかった。 何の勧誘のチラシなんだろう、よくよく見ると、そのチラシにはこのように書かれていた。 どうやらある機械を使って、過去に戻ってあなたの悩みや後悔を解決しませんか・・・・という内容であった。 どう考えても怪しいチラシであったが、まるで今の自分に宛てられたチラシのようにも見えた。過去の後悔・・・いなくなった、あいつへの後悔・・・ 私はそのチラシを手に、書いてあった場所に行くことにした。 その場所は繁華街に近い雑居ビルの五階にあった。ビルの外観はだいぶ古臭く、中も壁にヒビが入っていたり、建物の傷みが進んでいる。ますます怪しさが増していった。 五階に着くと、鉄製のドアに、チラシに書かれているものと同じ会社の名前のプレートが付いていた。 自分で言うのもなんだが、意外にも、私はためらいもなく扉を開けた。 私は呆気にとられた、ビルの外観から想像もできないほど、その部屋の内装が綺麗であった。扉を開けると、仕切りも何もなく、一間のみであった、壁やイス等、全体が白まとまっている。そして、その一間の真ん中に、今まで見たことのない、人型のカプセルのようなものが置かれていた。一通り見渡したが、人の気配はない。 私は、恐る恐るそのカプセルに近づいてみた。
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