タイム・マシーン

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「我が研究所へようこそ!」 いきなり後ろから、大きい声で話を掛けられた。振り向くと、胡散臭い髭を生やした男が、胡散臭い白衣を着込んで、私のすぐ後ろに立っていた。 「あの、これ、」 私は男にチラシを見せた、男は笑みを見せた。 「あなたが、最初のお客様ですよ!」 「ああ、でしょうね・・・」 男は嬉しそうに話したが、私は、かえって不安が増していった。 「あの、本当に、過去に戻れるんですか?」 「ああ!いえ、実際には過去には戻れません」 「はぁ?」 「戻れるわけないでしょう、アインシュタインも言っています。人類はタイムマシーンを作ることはできないと」 男は私を横切り、カプセルに付いている何かの装置をいじり始めた。 「じゃあ、このチラシはなんですか?」 男は私をチラッと見て、再び装置をいじり始めた。 「それはですね、あなたの「心」の過去に戻る、ということなのです」 「心の、過去・・・」 男はすっと立ち上がり、私の周りを歩き始めた。 「そうです、あの日、あの時、あの場所で、君に・・じゃない、あなたが、行った行動、あなたが発言した言葉、後悔したことありませんか?モヤモヤしたことありませんか?心に引っかかってはいませんか?」 男はカプセルのカバーを優しくなで始めた。 「この機械は、そんな心のしこりを、あなた自身で、再び戻って解決する、そんな機械なんです。」 「つまり、私自身が、私の心の中に入るってことですか?」 「ズバリです!察するに、あなたは何故、ここに来たのかというと・・・」 男は舐めまわすように私を見始めた、私は一応、胸と腰周りを手で隠した。 「彼氏!いや、元彼でしょ」 私は、そんな顔をしていただろうか、いかにも引きずっていたような顔をしていただろうか、 「わかります、わかりますよ、何も言わなくてもいいです。いなくなった彼氏にひとこと言いたいんでしょう?」 「いや、ひとことっていうか、まぁ、そうですね、」 「叶えましょう、叶えましょう。ちなみに、健康状態には一切影響はありません。」 私はやけになっていた、どうなるか、やってみよう、私がどうなろうと、もうどうでもいい。私は男に機械の使用をお願いした。
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