タイム・マシーン

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カプセルを開けると、 リクライニングシートのようなくぼみがあり、 男は私に、ここに横になるように指示をした。 私は男の言うとおりに、くぼみに横たわり、仰向けになった。男は何かを準備しながら、私に話しかけてきた。 「ひとこと、言っておきますけど、実際に過去を変えることはできませんからね、」 「え、変えられないんですか?」 「そりゃあ、そうでしょう。あくまでも、あなたの心の中ですからね、たとえば、あなたが、彼氏の行動に文句を言うとしますよね?そこであなたが何を言おうが、彼氏は行動をやめません、」 「そうなんですか、じゃあ、これ何のためにやるんですか?」 「これはあくまでも、あなた自身の気持ちの整理のためです、過去に戻って、彼氏に何か言うことによって、あなたの心の傷が癒えるのです、」 「なんか、ずいぶん神秘的な表現ですね・・・」 「いや、これはちゃんとした、科学的な療法ですよ、あなたが一人目ですけど、」 「この機械、ちゃんと臨床試験したんですよね?」 「しましたよ、被験者はこの通り、実に健康的ですよ」 男は私に両手を広げて健康をアピールした。 「まあ、だったらいいですけど、」 「では、始めますね、そのまま横になって、楽にしていてください」 私は、言われたように身体の力を抜いた、カプセルのくぼみは、見事に身体にフィットした。とても気持ちがいい。 男はカプセルのフタを閉めると、カプセルの中は真っ暗になった。耳元にスピーカーがあるらしい。 「いいですか、落ち着いてくださいね。リラックスして、目を閉じてください、」 ゆっくりと目を閉じてみる、何か機械のモーターのような音がカプセル内に響いている。音は少しずつ大きくなっているような気がする。少し不安になってきた。あれだけヤケに なっていたのに、無機質に、規則正しく流れるモーター音が、私のからっぽな心の中を埋めつくし、不安を助長させた。
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