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今日は浅草に行くという。 隆もくっついてきている。 桜橋の上から隅田川を見る。 懐かしいな。対抗レガッタ。 この橋の上から多くの声援を浴びた。また出たいなあ。 スカイツリーに寄る。展望台に上がり、東京を一望する。 汚い街だが、夜景は素晴らしい。   美由紀ちゃん、お待たせ! と元気のよい声が響いた。俺の姉だ。人混みの中ででかい声を出すなよ。 背が高いうえに、最近は横幅もたっぷりだ。 あ、お姉さん、わざわざすみません。 いいのよぉ。天ぷらでも食べようか。 隆ぃ~、あんた周一に似てきたわね。背も高いし、女の子にもてるでしょ。 おい、本当にどこのオバチャンだよ。やめろよ。みっともないなぁ。 そのうちヒョウ柄が似合うようになるぞ。 受験の話なぞしている。美由紀は大学からだから、うちの大学のコネ入学の実態を知らない。 大丈夫だって。まだ先生たちも現役だし。案の定姉も言う言う。 あー大丈夫大丈夫、ダンナとダンナの友達にも言っておく。 姉のダンナは医者で、無論K大出身者だ。願書に大学出身者の知り合い、親族の名前を書く欄があるのだ。 おい、美由紀、いい加減にしろよ。俺は退屈してしまった。 それと・・・ と美由紀が切り出すと、姉は 美由紀ちゃん、その話はまた今度にしよう。 といって遮ってしまった。やっぱりオバチャン濃度が高いな。
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