第1章

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「俺は一年、その村で暮らした」 「皆良い人ばかりだった。どこの誰かも分からぬ俺を迎えたのだから、それがとても嬉しかった」 「だからただ食わせてもらうだけじゃなく仕事の手伝いもした。農作業や内職、そんな昔の人みたいな仕事だったけど村に貢献出来たみたいで嬉しかった」 「暇なときはゆかりちゃん達に混ざって山を探検したり海で水浴びをした。一人で沖縄にいたとやってることは同じなのにとても楽しく、幸せだった」 「ゆかりちゃんとは他の村人と違いいつも一緒にいた。同じ家に暮らし朝になったら叩き起こされ、同じご飯を食べ、一緒に行動した」 「いつだったかなぜ俺と一緒にいるのか聞いたことがある。そのときゆかりちゃんは一緒にいると幸せになれるからと言って顔を背けた」 「俺も一年も村にいたのはきっとゆかりちゃんと一緒にいると俺も幸せになれたからで、きっとゆかりちゃんと離れたくなかったからだろう」 「これ以上の幸せなんてない。一緒にいるだけで幸せになれるならそれで良いじゃないか・・・そう思っていたくらいだ」 「だけど、俺はそれでも村を離れたんだ。どんなに幸せでも、ゆかりのことが忘れられなかったから」
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