第1章

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「これは夢かもしれない・・・そう考えた俺はそれとなくゆかりちゃんに訊いてみたんだ」 「結果的にゆかりちゃんはあっさり明かしてくれた。しかしそれは俺が期待したものではなくもっとスケールの大きいものだった」 「どうやらこの村は現実には無く夢と現実の狭間に存在するものらしい。一言で言うなら異世界のようなものだ」 「そしてその村は人類の現実から逃げたいという願望から生まれたもので、その村の数は人類の人口とほぼ同じらしい。原理はよくわからないが何十億という願望を結集させてその力を分散させて作るらしい」 「それ故にここに来る人間は決まって現実に居場所を無くしたばかり来るんだとか。確かに俺もどこか遠くへ行きたいと思っていたからそれは納得した」 「それでゆかりちゃんの正体なんだが、それが驚くことに俺の願望を強く具現化させた存在なんだ」 「こんな娘と一緒にいたいという願望・・・俺の場合ゆかりと別れたから代わりになる娘が欲しいというあまりに自分勝手な願望がゆかりちゃんを生んだ」 「その話を聞いたときゆかりちゃんと結婚することこそ人道なんじゃないかって思った・・・が、それは偽善だとも思った」 「なぜなら、なら尚更現実のゆかりと向き合った方が良いと思ったからだ」
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