第1章

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「ゆかりと喧嘩して別れた後、俺は淋しくてどうにかなりそうだった」 「心に穴が空いたよう・・・というより身体をバラバラにされた気分だった。何を思っても形にならず煙になって溶けてしまう。見るもの全てが灰色だった」 「だから俺は何かを求めるように旅行に出た。ちょうどGWだったしな。出来るだけ遠くに行った」 「その旅行自体は楽しかった。海で泳いだり山に登ったりとにかくリフレッシュしようとした。慣れないナンパまでしてな」 「それでも視界に映る灰色に色がつくことがなかった。まだ灰色になりきれていない思い出ばかり綺麗に見えて寂しかった」 「それでGW三日目、俺はもっと遠くに行きたいと思った。ただ日本でこれ以上は遠くに行けなかった。そのとき既に沖縄にいてそれより先は外国だったからだ」 「もっと遠くへ行きたい、もっと遠くへ行きたい。そう願い事をして眠りについて気がつくと」 「俺は見知らぬ浜辺で寝そべっていた」
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