第1章

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「ホテルで寝ていたと思っていたから、その現象に驚いた」 「さっき昌が言ったように夢遊病で海までやって来たと考えたが、どうみてもそこは沖縄の海ではなかったんだ」 「海が・・・というよりまず最初に匂いが違った。次に風、そして風景、まるで間違い探しでもするように確認をして、最終的にここは沖縄じゃないと確信した」 「そう思ったら急に不安になってきて、その不安から逃れるように俺はそこから離れた」 「誰でも良いから人に会いたかった。しかしなぜか歩くも歩くも町に着かず森を彷徨っていた。一体どんな田舎に来てしまったんだと不安になりながらもとにかく歩いた」 「歩き始めて数時間、俺はやっと人に会えた」 「それは中学生くらいの可愛らしい女の子だった。そのときは嬉しくて気にならなかったが冷静になるとその女の子の服装に違和感を感じた」 「今みたいな洋風のフリフリした服ではなく、昔みたいな小汚い着物だったんだ」 「ただ俺はドラマの撮影かなにかだと思った。そう考えるとこの深い森も実はセットかもしれないと思うと途端に気が楽になった」 「そして俺は女の子に話しかけた」
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