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ゴボゴボ。。。。
~ここは。。。どこだろう。。。?~
弥生は夢を見ていた。
仄暗く、あたりは青い色で満たされている。
体がフワフワとしていて、ゆっくりとしか動かせない。
~。。。寒い。~
まとわりつくような冷たさに、弥生は自分の体を抱きしめた。
ゴボ。。。
目の前を、気泡がのぼっていく。
~水。。。水の中。。。?~
そう思った時だった。
ものすごい勢いで、弥生の体は水底へと沈んでいく。
いや、引き摺りこまれていく。
弥生は思わず下を見た。
何者かが、弥生の足首を掴んでいる。
振り解こうと、弥生は足をばたつかせた。
だが足は虚しく水を蹴るだけ。
夢の中のはずなのに、苦しさが半端ではない。
必死に抵抗しながら、足下にいる何者かに目を凝らす。
。。。。
由佳だ。
由佳が、満面の笑顔で足首を掴んでいる。笑顔だが、目は笑っていない。
由佳の口が動いている。
何かを言っているのか。。。?
弥生は目を凝らし、由佳の口元を凝視した。
ゆ
る
さ
な
い
由佳の口がそう言っていた。
弥生は フッと勝ち誇ったように笑うと、
~アンタもう死んだのよ。ワタシの勝ちよ。~
頭の中でそう呟いた。
~これはワタシの夢なのよ。目が醒めたら、尚人さんはワタシのものよ。死んでしまったアンタには、どうする事もできない。~
そう、これは夢。
夢なのだから。
夢なのに。。。
このリアルな苦しさは何?
本当に水中にいるかのように、重い体は何?
なんでこんなに寒いの!
なんでこんなに冷たいの!
なんで。。。
目が醒めないの。。。?
不安で押し潰されそうな弥生の頭の中に、聞き慣れた声が響く。
~なんで夢だと思うの。。。?
なんで夢だと言い切れるの。。。?
アナタはここから出さないわ。~
『アナタは永遠に、ここでワタシといるのよ!!』
ーFINー
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