由佳の場合。

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仕事が終わり、帰り道のファミレスで食事をした後、由佳と弥生は由佳の部屋でDVDを見ながらビールを飲んだ。 少しほろ酔いになった頃 お風呂に入る事になり、由佳はバスルームにお湯を張りに行った。 そろそろ貯まったかな?と、由佳がバスルームへ様子を見に行った、その時。 お湯を止めようとバスタブに手をついて、少し前のめりになった由佳の体は、背後からいきなり押さえつけられた。 不意打ちだった為、反射的に息を吸い込もうとしてしまい、思い切り水が肺に入り込んでくる。 とてつもない苦しさに、由佳は暴れまくった。 自分の頭を力任せに押さえつけている腕を、何度も何度も引っ掻いた。 抉り取られた肉が爪に入り込む感触。 バタバタと暴れる度、その辺の物が足に当たる感触。 何よりも、苦しくて酸素が欲しくて、水の中で無意識に息を吸ってしまい、余計に苦しくなるのがたまらなく地獄だった。 由佳は、自分を今押さえつけているのが誰なのか、考えたくなかった。 自分を殺したいと思うほどに、それほどまでに、弥生は自分を嫌っていたという事を、認めたくなかった。 もがき苦しみながら、薄れゆく意識の中で、弥生の笑い声を聞いた気がした。。。 ………… ━━━気が付くと、由佳は天井から弥生を見下ろしていた。 一心不乱に部屋を荒らしている。 おそらく、自分が殺した事を隠蔽する為の工作だろう。 黙って様子を見ていると、弥生は一人で笑い始めた。 「ふふふ。。。あははっ。馬鹿な由佳。殺されるなんて思いもしなかったでしょう。これでもう邪魔者はいない。尚人はワタシのものよ。ワタシと尚人が抱きあうのを、指を咥えて見てなさい。あははっ。あははははは。。」
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