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相当大きな声を出しているはずだが、やはり反応はない。
「なにやってんだ、早くしろ! ……入るぞ!?」
流石にイライラが募って、我慢しきれずに脱衣所へ突入。そこには、綺麗に畳まれた魔王の着替えと、籠に放り込まれた下着とピンクジャージがあるのみだ。
電気の点いた浴室からは、若干湯気が漏れ出ている……それは、まだ魔王が中にいるという証拠だった。
「姉ちゃん! 聞こえてんだろ、早く上がれ! そんなに長く浸かっても、てめーの心の汚れは落ちねーからな!」
ここまで挑発しても、やはり無反応。
弟の堪忍袋は、とうとう破裂した。
「おいコラてめぇいい加減にしろやァァァァ!」
浴室の扉を怒りに任せて開け放つ……と、弟の目に映ったものは……ぱっと見、誰もいない浴室。
しかしよくよく見てみると、浴槽に何かが浮いている。
例えばそれは、見覚えのある赤くて長い髪……。
魔王は、眠ったまま浴槽に沈んでいた。
「姉ちゃん!!!?!?」
幸いにも、顔が湯に浸かってからそう時間は経っていなかったらしく、無事弟に救助されましたとさ。
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