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箱から負のオーラダダ漏れの「壮絶人生ゲーム」に、弟は思わずたじろいだ。そしてこれを購入する女神の感性を疑った。
「ねぇ、せっかくだからこれやりたいんだけど! やり方知ってるなら教えなさいよ!」
「ええ……マジでやんのかコレ……?」
女神はすっかりその気になっているが、弟はどうしてもそうはなれなかった。
正直やりたいと思えないし、それは嫌でも顔に出る。
「ちょっと、なによその顔! 私が教えてって言ってるの! 早くしなさい!」
「いや……でもよ……駄女神、本当に知らないのか?」
露骨にテンションの下がりまくる弟の態度に、女神は徐々にイライラしだし、ついには直接口で急かした。
それでもやはり躊躇いを見せ、そしてなにやら最終確認をしてくる弟。女神のリアクションを見て、疑念が確信に変わると、更に言葉を連ねた。
「そもそも一人用じゃねーからな、これ。最低でも四人はいないとつまらないと思うが……」
「えぇッ!? 嘘っ、これ一人じゃ出来ないの!?」
弟に聞かされたその事実は、女神にとって大変ショックなものであったらしい。
オーバーなほどびっくりしているが、それらの声や仕草は演技などではないとよくわかる。というか、女神に演技なんてできないと弟は確信している。
「だ、大富豪と同じで、これをやりさえすれば私もリア充の仲間入りだと思っていたのに……そもそも一人じゃできないってどういうことなの!?」
「お前考え方の順序逆だよな。よくアホって言われなかったか?」
衝撃の事実発覚に、女神はガクッと膝から崩れ落ちる。
冷静に発言の矛盾に対するツッコミを入れる弟は、早くも疲れ始めてきてきた。まだ休憩に入れていないので、さっさと切り上げたいのが本音だ。
「でも、人数さえいればこれで遊べるのね? だったら人数を集めればいいのよ! ってことで愚民、さっさとこの家の連中呼んできなさい!」
しかし弟曰くアホは立ち直りも早かった。
ショックを受けるだけ受けた後は即座に切り替え、上から目線で指示を出す。
だが、弟の対応は非常に冷めたものだった。
「え、普通に嫌だ」
真顔かつはっきりバッサリと、それを両断。
「ていうか遊びたいのはお前だろ? だったら自分で人数集めてこいよ駄女神が」
正論を淡々と述べる。最後に少し募った怒りが垣間見えたが、そこは大した問題ではない。
要は、あまり長く女神の相手をしていたくなかった。
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