LV19 冷凍した熱々な合宿

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そして皆の気が変わらぬうちに、と早速弟はDVDを再生した。 液晶の大画面から、軽快な音楽とともにオープニングムービーが流れ……やがて、真っ白なタンクトップが黒い肌によく生える、筋骨隆々なスキンヘッドの男性のバストアップが映される。 『やあみんな! フリーズヒートキャンプへようこそ! 俺が当キャンプの隊長を務めるフリードリヒだ! 気軽にフリー隊長と呼んでくれ!』 「先ず本人が推奨してきた呼び方が気軽なものじゃない気がするんだが」 ハキハキとはっきり、そして明るくこちらに向けて話しかけてくるフリー隊長に、早速一つツッコミを入れた勇者。 初対面の人間に隊長と呼称するのは、とてもではないが気軽な呼び方とは思えなかったのだ。 「うおおおお! 筋肉やべぇぇぇぇ! 何アレ、超ムキムキじゃん! 黒光りしてるし! そのくせ歯ァめっちゃ白ェし! 確かにこりゃホモビに出演してても全く違和感がねぇルックスの持ち主だぜぇぇぇぇえッ!」 フリー隊長を見て、興奮度が一気に昂ぶっているのは、言わずもがな魔王である。 画面にかぶりついて無意識のうちに両拳をぎゅっと握り締め、更には鼻息がとても荒くなっていた。魔王の脳内ではよからぬ妄想が生み出され続けているのであろうことは、想像に難くない。 『それじゃあ早速、体をよくほぐしていこう!』 「ほ、ほんとにいきなりはじまるのね。なーんにも説明がないなんて」 「これはかなりガチなやつだな」 前置きなど必要ない。ただ体を動かせ。そう言われているような気がした。 女神と勇者は、戸惑いつつも画面のフリー隊長に倣い、ストレッチで体をほぐしていく。他の者も同様だ。 「……おい肥溜女神、全然体が曲がっていないじゃないか」 「あんただって曲がってないわよ! 鏡見てみなさい、鏡っ!」 「おいおいまだ準備運動の段階だぞ、情けない」 「「そういうあんた(貴様)が一番できてない!」」 そう、彼らの体は絶望的に固かった。特に弟はひどいもので、まるで普段のストレスが凝り固まったが如く、セメントのように動かない。 「……あれ、おかしいな、こんなはずじゃ」 そして静かに魔王も錆びついた関節を晒していた。普段の引きこもり生活で動かさなかった分、全身の関節が固くなってしまっていたのだ。 その反面、メイドのみ脅威の軟体を披露していたのだが、互いの糾弾に必死になっていた彼らには知る由もない。
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