LV19 冷凍した熱々な合宿

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メンタル面に問題を抱えまくった運動不足4人がぐだぐだとやっている間にも、メイドは一心不乱に体を動かし続けていた。 あれやこれやと余計なことを考えず、全身を躍動させるのはメイドという人物の性に合っていたのだ。 『よーしいいぞ! 次は右、左、と連続でパンチを打つんだ! そう、憎き宿敵をブッ飛ばすつもりで!』 画面内のフリー隊長が掛ける過激な言葉は、このビデオを見る者のやる気を高揚させる効果があると、一躍話題になったことがある。 もちろんメイドもちゃんとその言葉を聞いていた。ただし、特に憎いと思う相手がいないので、フリー隊長が何を言っているのかはよくわかっていない。 『もっと! もっとだ! まだ足りない! もっと速く、もっと激しく! そう、そうだ! その調子だ! 君なら出来る! もっと出来るぞ!』 「はっ、はっ……もっと、はやく……!」 既に全力のつもりだったメイドに、フリー隊長からの叱責が浴びせられる。 当然のようにそれを真に受けたメイドは、自分の限界を超えてそのか細い四肢を駆動させた。 流石に息が上がりつつあり、額にはじんわりと汗も滲み始めている。それでもこの運動量を弱音一つ吐かずに熟すのは、流石の身体能力である。 たった5分で死にそうになっている人たちとは大違いだ。 『よーしよくがんばった! だがまだまだイケるぞ! 次のトレーニングは……』 ほんの数秒だけインターバルを置いて、すぐさま次へ移っていくフリー隊長のスパルタ指導。 いくら身体能力の高いメイドとは言え、このような動きは慣れないために、疲労は確実に蓄積されている。だがそれでも付いて行けなくなるほどではない。 メイドは文句一つ言わずにフリー隊長についていく。なんのためにこんなことをしているのかなど知らないが、それでもやれと言われればやるのがメイドであった。 その後も、格闘技をベースとした激しい無酸素運動の連続。全身の筋肉を余すことなく鍛える、考え抜かれた厳しくも効果の高いトレーニング。 そんな密度の濃厚な1時間を、メイドは過ごした。 『みんな、よくがんばった! よくついてきた! 君こそが、そう、勝者だ! ビクトリー!』 「わたしが……びくとりー」 厳しくはあるが、やり切った者への労いを忘れぬのもまたフリー隊長が隊長たる所以。 メイドはその言葉に、充足感を覚えていたのだ。 なお、魔王以下4名は依然、眠ったままである。
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