LV19 冷凍した熱々な合宿

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全身を湿らせる汗が、メイドの着る魔王お下りの体育着を肌に吸い付かせ、気持ち悪いと思う反面、適度な疲労感はどこか清々しささえ感じる。 メイドには、その満足感の正体を掴むことはできなかったが、それでも余韻に浸るだけの感傷は持ち合わせていた。 「……クロードさま、ねえさま?」 しばらくの間、真っ黒になったテレビ画面を見つめていたメイドだったが、ふと異変に気が付いた。今更過ぎるが。 そう、自分以外にもフリーズヒートキャンプを受講していたメンバーがあと4人いたはずなのである。だが、まるでその気配がない。 だが、ちょっと周りに目を向けるだけで、すぐに4人を発見した。ほぼ屍となった状態の。 「ク、クロードさま!? ねえさま!? ゆうしゃさま、めがみさまーっ!」 ぶっ倒れて物言わなくなった上司&客人たちに慌てて駆け寄る。 そこからは(しょっちゅう魔王が倒れるため)手馴れたもので、先ずは意識の確認をと、魔王を揺り起こしてみる。 「ねえさま、だいじょうぶ、ですか?」 肩をゆさゆさと揺すると、返事を聞くまでもなく魔王は薄眼を開けていた。 そして、口パクで何かを伝えようとしているのだが、メイドはその両方を見落としていたのだ。 「や、めろ……きもちわるい……揺らすな、吐きそう……」 「ねえさま、ねえさまーーーーっ!」 「ちょ、おま、やめろっつってんだおろろろろ……」 ガクガクと激しく体を揺らされた所為か、魔王は台詞の途中で盛大に胃の内容物をぶち撒ける。 口周りと着ていた服とリビングのフローリングをゲロまみれにしつつ、魔王は白目を向いて静かに気を失った。 「な、なんだこのニオイ……臭っ、気持ち悪おろろろろろ」 「け、穢れの塊が穢れ吐きやがっ……! おろろろろろ」 「き、きったないわね!? そんな立て続けに吐かれたら私も貰っちゃ……おろろろろろ」 そして、魔王と同じく体力の限界を迎えていた3人は、魔王の放った劇物から漂う異臭により、倒れ込みながら自身も劇物を精製するに至った。要するに貰いゲロ。 計四次災害、全員とリビングが吐瀉物まみれの史上稀に見る地獄絵図で、此度の運動企画はお開きとなったのだ。 もちろん後片付けは全てメイドがこなしてくれた。吐瀉物の処理も服の洗濯も、気絶した皆の体を洗うのも全て。 だけどメイドは、またフリーズヒートキャンプをやってみたいと密かに思うのだった。
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