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ゲーム開始10分にも満たない間に、魔王と女神の争いは苛烈さを増していく。
「あーははははァァァっ! 私の邪魔するゴミは蹴散らしてやらァァァァ!!」
魔王が圧倒的プレイヤースキルにより、数々のミニゲームを制してポイントを稼げば……。
「こんのクズがァァァっ! お邪魔アイテムをくらって泣き叫びなさい!!」
女神の圧倒的ビキナーズラックにより引き当てた妨害アイテムが、根刮ぎそのポイントを奪って行く。
「てんめぇぇ……! さっきから私のポイントばっか奪りやがってぇぇぇ……!」
「あんたこそミニゲームん時、私ばっか狙ってくるわよねぇ……!? そのお返しよッ!」
隣同士でわざとらしく目線と肩をぶつけ合い、互いを牽制する魔王と女神。
実質的に、この2人による一騎打ちである。
「やりましたわー! 1位に浮上ですわよー!」
「おみごと、です、いもうとさま」
激しい足の引っ張り合いの間に、妹とメイドはぐんぐんとスコアを伸ばしていった。
優勝はほぼ、妹かメイドで決定として……魔王と女神のは醜い最下位争いということになる。だが、お互いにお互いを蹴落とすことしか見えていないので、全体順位はどうでもよかった。
最終的に、優勝は妹、準優勝がメイド……そして、同率3位で魔王と女神になったのだが、当然こんな結果で納得するはずもなく。
「あーもう頭きたァッ! こうなったら直接てめーに制裁を下してやらァ!」
「それはこっちの台詞よっ! この女神が直々に天罰を下してあげるわっ!」
2人ほぼ同時に立ち上がり、自分たちの座っていたクッションを手に取った。
「こ、これが魔王の決闘ですのっ!? なんという迫力……!」
緊張感に、思わず妹も息を飲む。両者睨み合い、クッションを構えたまま、しばしの沈黙が続いた。
「オラァァァァっ!」「てやぁぁぁぁっ!」
動いたのは、これまた全く同時。
思いっきり投げ付けられたクッションは、空中で交差し……そのまま相手の顔面へと、綺麗に吸い込まれていった。
そしてクッションをまともに食らった魔王と女神は、その勢いのまま思いっきり背中から倒れて……魔王は本棚に、女神はクローゼットにそれぞれ突っ込んだ。
「「ぐわぁぁぁぁ!?」」
結果、魔王秘蔵BL本とクローゼットに押し込まれた大量の積みゲーが雪崩れ込み、2人を生き埋めに。
この後、物音に駆け付けた弟が2人に雷を落としたのは、言うまでもないことである。
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