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「ふっ……ふふ……ふははははははは!!!」
結論から言うと、魔王はこのじゃんけんサバイバルに生き残った。
その異常なまでの執着心が、他のライバルたちを蹴散らし、勝利を呼び寄せたのである。
「はい、それでは勝者の方は壇上へどうぞ!」
司会の声を聞き、魔王はゆらゆら体をゆらしながら、ステージ上へ歩き出した。
階段を登り切って、彼女がステージの上から見た光景は、それはもう恍惚至極。
不特定多数の人間が、羨望の目で自分を見上げている。そしてそれをこれでもかと勝ち誇って見下す。
どうだ見たか? これがお前らと私の差だよ!
まるでそう言わんばかりの眼差し。
魔王はこれ以上ない快感に浸っていた。
「……あれ、でも……失礼ながら、緑色のものを着用しているようには見えないのですが……」
ここへきて司会からの当然の指摘。
参加条件を満たしていなければ、もちろん不正行為により失格……この勝利も水泡と帰す。
だがこの魔王、今回ばかりは不正を一切働いていない。何故なら。
「私の……今履いている下着……の、模様に一部緑が使われている……! なんなら確認するか?」
魔王はスカートの端を小さくつまみ上げ、にやりと勝利を確信していた。
この「着用している下着暴露」に会場がどよめいた。しかしこのどよめきすらも気持ちいい。
「で、では失礼して……」
そしてその真相を確かめるべく、司会のお姉さんは魔王の前に屈んだ。ステージ下には見えないよう配慮して、ほんの僅かにだけスカートを捲って中を確認……どんな光景だ。
「……水玉ッ! 緑ですッ!!」
司会、言わなくていい情報を叫ぶ。彼女もまた、魔王の変なノリに当てられてしまったのかもしれない。
しかしこれでジャッジは白と出た。これで魔王は、堂々と囁いて貰える権利を獲得したことになる。
「では……なんと囁いてもらいますか?」
「……そうだな」
司会の問いに、魔王は熟考する。
この権利を使用できるのは一度きり。ならば、最高のセリフを言わせなければ大損だ。
魔王は自身の脳をフル回転させ、ありとあらゆるシチュエーションを妄想した。
「あ、これ……やべぇ。死ぬ……」
その結果、興奮し過ぎで脳がオーバーヒート。
鼻血を勢いよく噴き出しながら顔を真っ赤にして背中から倒れ込み、失神した。
スカートの中身は、ばっちり他のお客に見られることとなってしまったのである。
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