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世界樹を中心とした、九つの世界がある。
その巨木を取り囲むように存在する九つの世界の一つ、ミッドガルドの女神は、とある小国の片田舎の教会にて祈りを捧げる修道女に神託を告げた。
『ニヴルヘイムに君臨する大魔王が、ここミッドガルドに侵略の使者となる魔王を遣わした』と。
そして同時に『女神の加護を受けた勇者を選定した。その勇者を魔王の討伐に向かわせよ』とも。
その神託を受けた女性神官は、すぐさま教皇へと神託の内容を告げ、それはやがて国の王の耳に届く。
それを聞いた国王は、国を挙げて神託の勇者を捜索した。
果たして勇者は、すぐに現れた。
右腕に女神の紋章が浮かび上がったというその青年は、神託の勇者の噂を聞きつけて自ら王の元へ馳せ参じたのだ。
そして、王とその家臣に盛大に歓迎を受けた青年は、勇者として旅立った。
……3ヶ月の月日が経つ頃には、誰も彼のことを覚えてはいなかったが。
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