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…………
「……はっ!?」
魔王は突然意識が覚醒して飛び起きた。
激しい頭蓋の痛みと目眩は当分治りそうにない。
よくわからないが、無性に弟を殴りたかった。
「何故私はベッドに……ダメだ思い出せない。ま、いいわ」
気分転換にBL成分の補充を……と思い、ベッドから這い出る。
その時、自身の左手の甲の異常に気付いたのだ。
「あ……? んだこれ。……『鏡を見てみろ』ぉ?」
手の甲に書かれたメッセージ。しかも油性ペンらしく、擦っても落ちない。ムカつく。
この時点で既に血管が浮き出るほどイライラしていたが、ついつい指示通りに鏡を見てしまう。
弟の手のひらで転がされているようで癪だが、何故かここで見ておかないといけないような気がした。
「…………」
フラフラした足取りで姿見の前に立ち、鏡に映り込む自分をじっと見つめてみる。
案の定、思った通り顔は落書きだらけであり、神経を逆撫でするような幼稚なイラストで魔王の顔は埋め尽くされていた。
『うんこ』だの『喪女』だの多分に悪口も書き込まれていたが、鏡で見たときにちょうど正しく読めるように配慮して書かれている謎の技術の高さと余計な気配りは、魔王の琴線を捩り切るのに充分過ぎた。
「あの童貞野郎マジで許さねぇ!!」
鏡に映った魔王の表情は、それはそれはこの世のものとは思えない形相だったそうな。
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