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オレはガラス張りの店内から外の様子に目をやると、ある事に気づいた。
「オレの店、ここから良く見えるな」
また、気づけば言葉が出てしまっていた。
「..あっ、そうなんです。僕いつも気になっていて…、素敵なお店で....。でもとても立派だし、僕なんかが買えそうにないから…。あっ、僕今大学生なんです。」
静かな店内で2人の声だけがBGMと共に、何とも言えない空気を作り出す。耳ざわりの良い声と、ちょっと可愛らしい口調がなんとも心地よい。
「へぇ..、君大学生なんだ」
「は、はい」
一瞬、沈黙してしまった。大学名を聞くのは少し気がひける。別に相手を計っている訳ではないが、自分がそう感じてしまった経験があるせいだ。国立を落ちて、仕方なく第二希望の私大に行くことになって、しばらくそんな自分が嫌で友達とも会いたくない時期があったからだ。今はもう、どうでもいいことなのだが。
「あのっ、いつも思ってたんですけど、水色がお好きなんですか?」
そいつはオレのネクタイを突然じーっと見てきた。
けど、いつもって?初対面だぞ!?オレは少し変な顔をした。
「すいません!ガラス越し、通られるのを見てたんです。とてもかっこよくて、お洒落でいらっしゃったので。」
「アハハ、なんか君、面白いね。」
何だか急に笑えてきた。自分が知らない間にこんな風に見られていて、しかも大学生の男に。
「え!?すいません、僕変なこといっちゃいましたか?」
「いやぁ、何か新鮮だね、こういうの!」
立ち上がろうとした瞬間、光に当たって茶色い髪が更に明るく照らし出され、金色のように見えた。
そして目の色がわずかにグリーンに見えたようなきがした。いや、カラコンか?!最近の大学生は、カラコンをするらしいからな。しかし気になる。そして気がつけば、顔のすぐ側まで近づいてしまっていた。
「えっ!?え!?」
俺には悪いクセがある。気になっていてしまうと、つい、じーっと穴が開くほど見てしまうのだ。しかもこれには家族からクレームが来ている
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