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前方にあるものなど、少女が立っていた空き地くらい。
その空き地に何かがあればそれのことかなとも思えるけど、残念なことにゴミ袋一つ落ちてない。
「……何? まだ遊んでたいとか、そういうこと?」
指差す意図が全く掴めず、あたしは困惑しながらそう訊ねる。
すると、少女はあたしの腕を離さないまま突然歩きだし、空き地へと向かい始めた。
「あ、ちょっと……。何なの?」
手を振り払うのも躊躇われ、されるがままになりながら付いて行く。
そうして、少女が再び立ち止まった場所は空き地の入り口。
軒下からほんの数メートル先の位置だった。
「……?」
何を伝えたいのか、本当にわからない。
困り果てながら次のアクションを待っていると、少女はまた右手である場所を指差した。
「ん?」
そこは、道路の端っこ。
確か側溝って言うんだったか、小さな指が示すのは道路脇の溝だった。
人や車が落ちないようにだろう、四角い蓋が被せられたその一箇所を少女は黙って指し示す。
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