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連れてこられた場所は、空き地から離れること二キロ程の所にあるそれほど大きくない平屋だった。
築何年くらいなのだろうか。素人のあたしが見てもそれほど新しい家でないことは確信できる。
(この辺りは普段全然来ないけど……まさかこんなに歩かされる羽目になるとはね。てか、小さい子一人で動き回って許される範囲を超えてると思うんだけど、親はどんな人なのよ……?)
暑さと疲労でへばりながら目の前の家を見つめ、それから今だに手を繋いだままの――さすがに腕を掴ませておくのはやめさせた――少女へ視線を移す。
「ここ、あなたのお家なの?」
念のため、確認。まさかこんなとこまで来て友達の家でした、なんてオチならさすがに怒りたくなるし。
でも、そんなあたしの心配は杞憂で、女の子は小さく頷くとやっとこちらの手を離し玄関の前へと駆けていった。
そしてこちらを振り返り、入り口横に付いているインターホンのボタンを指差す。
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