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そして――
「――はい、どちら様でしょうか?」
呆然としている間に、玄関が開いてしまった。
「え? あ、あの、えっと……こ、こんにちは」
出てきたのは、三十代前半くらいの女性。見た感じからして母親だろう。
気が動転し、しどろもどろになるあたしを怪訝そうに見つめていた母親は、ふとあたしの手に握られた人形を見て
「あ……っ!」
と、驚いたような声を漏らした。
「え?」
「あの、それ……その人形は……?」
「あ、これ、お子さんの、ですよね?」
目を大きくしながらこちらの手元を指差す母親へ、あたしはおずおずと人形を差し出す。
「お子さんも一緒にいたんですけど、何か、またどこかに行っちゃったみたいで……」
「は? あの、それはどういう……?」
受け取った人形をまじまじと凝視していた母親は、あたしの付け足した言葉に目元を強張らせるようにして視線を上げてくる。
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