夕立ちと少女と小さなお願い

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空き地の中に看板なんてあっただろうか。 そんな疑問を抱きながら目を細めてその一点を凝視していると、不意にその看板みたいなものがユラリと動いたような気がした。 ぎょっとなりながらも目を逸らせずに見つめていると、それはペンギンが歩くときとそっくりな、左右へ小さく揺れる動作をしながら少しずつあたしの方へと近づいてくる。 (えぇ……? 何、人? あれ人なの? すごい小さいけど、小学生くらいかな。何でそんな子がこんな雨の中慌てもしないで突っ立ってんのよ……) 空き地にいるだけなら、まだ理解できる。 遊んでいたらたまたま夕立ちに降られてしまうことなんて、子供には珍しい体験でもないだろうし。 だけど、普通こんな視界がきかなくなるほどの豪雨となればあんな落ち着いて行動するなんて考え難いし、大抵は急いで家に逃げ帰るとかするだろう。 あたしだったら、絶対にそうする。
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