夕立ちと少女と小さなお願い

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訝しみながらも黙ってその子供を見ていると、空き地の出口付近まで来てそのままピタリと動くのを止めてしまった。 距離にすれば、せいぜい三メートルあるかないか。 そんな間合いで立ち止まられたら、こちらとしては何とも落ち着かない気持ちに襲われてしまう。 (あれ、女の子だよね。何でそこで立ち止まるのよ。こんな土砂降りの下で顔なんか拭ってたって意味ないでしょうに。家が近くにあるんなら走って帰りなよぉ) この距離になって、相手の輪郭が明確になった。 やっぱり、小学一年生くらいの子供。それも、女の子だ。 白いワンピースに黄色い靴を履き、俯きながら両手で目元を擦っている。 家は近くじゃないんだろうか? それで、いきなり豪雨に見舞われ帰るに帰れず途方にくれているとか、そんな事情があるとすればここに留まっていることにも一応納得はできる。 だけど、それにしたって雨宿りもしようとしないのはいかがなものか。
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