夕立ちと少女と小さなお願い

「……一人で遊んでたの？」

呼びかけた手前黙っているわけにもいかないと思い、話しかけてみる。

「…………」

だけれども、少女は俯いたままアクションを起こすことはせずただ静かに立っているだけ。

せめて顔を上げてこっちを向くとか、寒くて震えるとかしてくれればコミュニケーションのきっかけにできるのだけど、そんな些末な動作もない。

（参ったなぁ……）

早く雨上がれば良いのに。

救いを求める気持ちで真っ黒い空に意識を向け、睨むように目を細める。

夕立ちだから、そんなに長く降り続けたりはしない。それは確実だ。

そう胸中で言い聞かせながらもう一度少女を見る。

「名前、何て言うの？ この辺に住んでるの？」

少しだけの辛抱。相手は自分より遥かに年下の女の子だ。

別にあたしが怖気づく必要なんかない。

そう己に言い聞かせ、あたしは思いつく限りの言葉を投げかけてみる。