人工知能は斜め目線

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ある夏の日、街中をひとり歩く女が喉を潤す為に 自販機を捜していた。 外気温は既に、30度を越えている。 もはや、喉がカラカラだ。 ふと前を観てみると、通りに一台だけの自販機を発見した。 傍に近づく女。 (人工知能付き自動販売機) と、自販機下部に大きくペイントされている。 それは、世界初のAI自販機だったのだ。 さっそくお金を投入し、ボタンを押したのだが 肝心の缶ジュースが出てこない。 「どうしたんだろ、故障かな?」 こんな時に限って……………女が呟く。 喉が乾いて仕方がない、片っ端からランダムにボタンを押してみる。 『年齢確認ボタンを押して下さい』 突然、自販機が喋った。 驚きを隠せない女。 「ちょっと、お酒じゃなく缶ジュースを買ったのよ!」 『同じ液体です』 屁理屈ともとれるAIの返事、女がイラッとする。 「貴方には、お酒もジュースも区別がつかないの?」 『私には味覚がありません』 あー言えばこー言う、AIの返事に女がキレた。 「お金を投入したんだから、早く出しなさいよ!」 『私にお金は必要ありません』 「なに言ってんの!?」 怒りも頂点に。 しかし、ここで自販機と喧嘩しても大人気ない。 仕方無く、女は年齢確認ボタンを押すことに。 『認証しました、暫くお待ち下さい………… 貴方はサバ読みが酷くて、若作りも度を越えています』 「大きなお世話よ!!」 『現在貴方の血圧は160、かなり高くなっています』 「いまさら、ウエアラブルを使わないでよ! 血圧を高くしてるのは貴方でしょ!!」 (バンッ!) 思わず、女が自販機を右脚で蹴った。 『更年期には、気をつけましょう』 「んもー 訴えてやるー!!!」
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