夜雀が死を招く

4/11
前へ
/11ページ
次へ
 再び瞼を開けて見た先には、雀の大群が犇めいていた。街灯に照らされて今ははっきりと確認出来る。  さっきの鳥は雀だったのか。  そういえば、雀は死の使者だなんて話を聞いたことがあったような。  今更、どうでもいいことだ。 「絵美里、ごめんな。今日の誕生日、祝えそうにないよ」  最悪だ。  今日帰ったら、プロポーズするつもりだったのに。指輪だって買ってあったのに。  絵美里がどんな顔するか見たかったのに。  まさかの『ごめんなさい』だったらどうするつもりだ。馬鹿言え、そんなわけあるか。  そうだ、馬鹿だ。死に逝くっていうのに、変なこと考えている。いや、そうじゃない。絵美里がプロポーズを断るわけがない。絵美里の気持ちは知っている。  なんでだ。どうしてだ。死にたくはない。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加