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再び瞼を開けて見た先には、雀の大群が犇めいていた。街灯に照らされて今ははっきりと確認出来る。
さっきの鳥は雀だったのか。
そういえば、雀は死の使者だなんて話を聞いたことがあったような。
今更、どうでもいいことだ。
「絵美里、ごめんな。今日の誕生日、祝えそうにないよ」
最悪だ。
今日帰ったら、プロポーズするつもりだったのに。指輪だって買ってあったのに。
絵美里がどんな顔するか見たかったのに。
まさかの『ごめんなさい』だったらどうするつもりだ。馬鹿言え、そんなわけあるか。
そうだ、馬鹿だ。死に逝くっていうのに、変なこと考えている。いや、そうじゃない。絵美里がプロポーズを断るわけがない。絵美里の気持ちは知っている。
なんでだ。どうしてだ。死にたくはない。
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