夜雀が死を招く

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「ふん、気にするな。要はお主を蘇らせてやるってことだ」 「本当か」 「ああ、本当だ。ただ人としては無理だがな。物の怪と化しても構わないというならば、再び命をあの身体に吹き込んでやる」  物の怪として……。  一瞬躊躇したが、絵美里の笑顔が頭に浮かびハングの申し出を受けることにした。絵美里とともに過ごせるのなら、物の怪でもなんでもなってやる。ただ絵美里には絶対に隠し通すつもりだ。物の怪だと知られたら、絵美里はきっと逃げてしまう。この秘密は墓場まで持っていかなくてはいけない。  天狗の力というものを肌で感じた。針でチクリと刺されたような痛みをともなったかと思うと自分の身体に重みを感じた。霊体からもとへ戻れたのか。そうなのか。  あっさりと生き返れたということか。
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