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どれくらい時間が経ったのだろうか。
尚人はおもむろにキーボードを叩き始めた。
《メッセージありがとう。とても嬉しいよ。実は、俺も弥生ちゃんと話してる方が楽しかったんだ。でも、あいつとは結婚の約束をしていてね。もう婚約までしてしまったんだ。もっと早く知りあえていたら。。。いや、弥生ちゃんと先に出会っていれば。でもごめん。あいつがいる以上、弥生ちゃんの気持ちに応えてあげる事が、俺にはできない。あいつと付きあってなければ、二つ返事でOKだったんだけどね。。。N》
そう打ち込んで、少し考えたあと、送信ボタンを押したのだった。
それからは、弥生から愛を綴るメッセージが毎日のように送られてきた。
尚人は、「もしこれが由佳の目に触れたら、弥生ちゃんに迷惑がかかるから」という口実で、送信後全てのメッセージを消去するように約束させていた。
もちろん、尚人の方も、今表示されているメッセージ以外は全て消去してある。
尚人はゆっくりと起き上がると、メッセージを消去しながら呟いた。
『由佳のヤキモチと束縛には、ホント辟易してたんだ。別れたくても婚約してしまった以上、俺から別れを告げれば慰謝料とかかかるからな。もう一生、俺は牢獄に繋がれるんだと諦めていたよ。』
ははっ、と短い笑いを漏らすと尚人は続けた。
『それが、あんなやり取りだけでこうも思惑以上に動いてくれるなんてね。驚いたよ。だけどお前と付き合う気も、サラサラなかったからな。この後どうしたもんかと悩んでたんだよ。』
『いや、マジで助かったよ。勝手に死んでくれるんだもんな!』
あはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは。。。。
深夜のアパートに、尚人の笑い声が響いていた。
ぴちゃ.....
ぴちゃ.....
ぴちゃ.....
~FIN~
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