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昼過ぎの住宅街。
いつもの日常的な喧騒とは違った空気がその場所を覆っていた。
入り口から現場までを覆うブルーシート。
関係者以外の立ち入りを禁止する黄色いテープ。
そして、何台もの赤色灯を廻したままのパトカー。
尚人は由佳のアパートに来ていた。
由佳の部屋の玄関口で、スマホを握りしめたまま呆然と立ち尽くしていた。
「状況を簡単に説明してもらっても？」
先程、到着してすぐに由佳との関係を訊いてきた刑事が、遠慮がちに言った。
『。。。今日は会うはずではなかったのですが、仕事が早く終わったので、彼女に電話したんです。。。。昼過ぎに。』
一旦そこで言葉を区切る。
「それで？」
『何度電話しても、出なくて。いつもなら、仕事中以外はすぐに出るんです。すぐに出られない状況の時は、前もってラインしてきてくれるし。』
「ふむ。」
『それで、変だなと思って、様子見に立ち寄ったんです。そしたら、呼び鈴鳴らしても返事がなくて。出かけてるのかなと思って帰ろうと思ったんですけど、なんとなくドアノブを回したら、鍵が開いていて。』
『彼女はとても用心深いので、鍵をかけずに出かけるなんて今まで一度もなかったんです。それで、もしかして具合でも悪くて、倒れてるのかもしれないと思って、中に入ったんです。そしたら。。。』
「そしたら？」
無表情でメモを取りながら刑事が促す。
『部屋が荒らされていて、もしかして強盗でも入ったのかと、部屋中を見て回ったんです。彼女を探して。そしたら。。。そしたら。。。っ』
尚人はそこで声を詰まらせ、漏れそうになる嗚咽を抑えようと、腕で口を押さえつけた。
「バスルームで死んでいる由佳さんを見つけたと。」
尚人の代わりに、刑事が付け足す。
『。。。。はい。』
涙を零し、ブルブルと震えながら、小さな声で尚人は答えた。
パンッ！！
と派手な音を立ててメモ帳を閉じると、
「わかりました！後ほど、詳しいお話を署でしてもらう事になると思いますので、よろしくお願いします。」
そう言って、部屋の中へと入っていった。
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