尚人の場合。

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警察の取り調べも心が重く沈んでいくのだが、尚人が一番苦しんだのは、周りの反応だった。 まるで腫れ物にでも触れるように、遠巻きに様子を伺いながら、努めて普通に接しようとする者。 「元気だせよ。」とストレートに言う者。 こちらを見ながらヒソヒソと話す者。 その全てが煩わしかった。 ~そっとしといてくれよ。ほっといてくれ。~ 周りの反応を目の当たりにする度に、尚人は心の中で呟いていた。 ~♪~♪ 一人になりたくて、昼休みに屋上に上がっていた時だった。 スマホの着信音が鳴る。 見覚えのない番号。 『また警察か?』 尚人は吐き捨てるように呟くと、電話を繋いだ。 『。。。もしもし。』 「ああ、澤口さんの電話で間違いないですかね。』 電話の相手は、強い口調でそう訊いてきた。 ~わかっててかけてるんじゃないのかよ。。。~ うんざりしながらため息を吐き、 「はい、そうです。」 と答える。 「ちょっとお聞きしたいんですがね?香坂弥生さんて方ご存知ですよね?」 『香坂。。。弥生、ああ!由佳の友人です。彼女が何か?』 尚人はなぜ弥生のことを自分に訊いてくるのかわからない、といった感じで答えた。 「あ、やっぱりご存知でしたか。実は彼女の事で伺いたい事がありまして。お仕事が終わられてからで構いませんので、署に来てもらえないですか。」 ~なんで弥生のことで俺が警察に呼び出されるんだ?~ そう訝しがりながらも、尚人は仕事が終わると、警察署に出向いた。
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