「おかえり」

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そもそも、まだ二歳と三歳の幼児を家に置いて外出するのも問題があるし… それに隠したところで、いずれ知るときはやって来る。 隠すことはないのかもしれない。 麻子が意を決し、孫たちに話を切り出そうとしたとき、ふいに孫たちは立ち上がり、パタパタとリビングのドアの方向へと掛け走った。 驚いた麻子が「どこへ行くの!?」と問うと 「おばあちゃん。玄関の音、聞こえなかったの?パパが帰ってきたんだよ」 と長女のほうが答えた。 その言葉の意味を、麻子が理解できる間もなく 「パパぁ、おかえりー!」 リビングのドアを開けた孫たちは、大きな声でそう叫んだ。 そして、ここからは視界に入らない廊下へとドタドタと走って行った。 麻子は、耳を疑った。
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