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長い一日を終えて、家に帰る。
今日の夕飯はなにかなぁ。
そろそろカレーが食べたいなぁ。
君のカレーは特別においしい……とまでは言えないけど、ぼくは好きな味だ。
具は……ニンジン、ジャガイモ、タマネギ、豚肉。
オーソドックスで、捻りもなく、いつも同じ。
テレビで"夏野菜のカレー"なんてのを紹介していても、君のカレーはいつものカレー。
ナスをたくさんもらっても。
挽き肉を買いすぎてしまっても。
鶏肉が安くても、牛肉が当たっても。
ピーマン、ササギ、パプリカ、カボチャ、トウモロコシ……夏野菜の安売りをしていても、君のカレーはいつものカレー。
らっきょう派の君と、福神漬け派のぼく。
赤と白がテーブルの真ん中に並ぶ。
子ども達はどちらも使わずに、おかわりをして満足そうにしていたね。
娘も息子も家を出て、それぞれ立派にやっている。
たまにくれる電話やメールが楽しみのひとつだ。
でもこちらからメールを送るとなかなか返事がこない。何故だろうねぇ、君ならわかるかい?
君の電話もよく鳴っていたね。
娘なんかはよく連絡をしていたんだろう。
女同士の秘密かな。
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